自分の下着や身体、ついでに当て物をしているところまでを大人に見られたということを知ったエドワードはいたたまれない気持ちになり同時に恥ずかしく思えてきた。
中尉が持ってきてくれたいつもの黒の上下と赤コートを着ると無性に下着やらなんやらを見たであろうあの大人を殴りたくなってきた。
「もうやだ………とりあえず大佐の頭殴って記憶消さないきゃ…………。」
「殴ってもいいけど仕事はできる程度にしてくれると助かるわ。」
見た目美人なふたりが物騒な事を話している間隣の執務室ではロイは悪寒に襲われていた。
「なんだ………急に寒気が…………気のせいか…………。」
不思議に思いながらも手際よく書類を捌いていたその時隣の仮眠室の扉が開き子供がいつもの赤いコートを身に纏って出てきた。
「鋼の!」
ドゴォ!!!
ロイが声をかけようと口を開き名前を読んだ瞬間左頬に衝撃が走った。エドワードの機械鎧の右手で殴られたのだ。
「ふーっスッキリした………。この一発で許してやる。次は無いぞ。」
突然金色の子供に左頬を殴られた大人は殴られた左頬が熱を帯びていくのを感じた。
「すまない……なんだその………知らなかったんだ。本当にすまなかった。隠していた理由を話せとは言わない。君のことだからなんとなく理由は分かるしね。」
その言葉にエドワードは目をパチクリさせる。
「話さなくていいの………?俺てっきり理由説明として報告書の何十枚も書かされるのかと………。」
「君もそうはしたくないだろう?女性のソレは大変だと聞く。その…代わりといってはなんだ…ここ最近は1、2ヶ月に一度は戻ってきてたしこれまで通り無理をせず戻っておいで。皆君が来てくれるのをなんやかんやで楽しみにしている。」
機械鎧の腕で殴られて頬が腫れているというのにそれを感じさせないような声でこの大人らしいとてもとても優しい言葉だった。
騙していたのにも関わらず何も言わない、何も聞かない。
エドワードはそんな優しすぎる大人に心の中で感謝するもなんとなく恥ずかしくなって顔をそむけたまま感謝の言葉を言う。
「大佐……あんがとな………。」
大人は顔をそむけている子供の髪の間から覗いてる耳が真っ赤なのを見て微笑ましい気分になるのだった。
まさかこの子供が将来自分の嫁になるとはこの時は思いもしなかったのだが……
その話はまた別の時に…………。